2007.02.16

河口の音

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私が初めて西表島に興味をもったきっかけは、ANAの機内誌の1つの記事だった。それはたしか「日本の○○百選」という土地を訪れてルポするもので、西表島の川が「音百選」に選ばれていた。それは何の音かというと、川や河口の生き物のかすかな息遣い、動作の音。記事ではシイラ川の河口の音を描写していて、それが見事な文章だった。それでどうしても西表島を訪れたいと思ったのが数年前だ。

初めて西表島を訪れたときも、1泊しかできないという強行軍でも、河口の音だけは聞きに行った。ズブズブと泥に足を取られながら歩き、潮の引いた河口にじっとしゃがんでいると、どこからともなく「シャワ、シャワ、シャワ、シャワ」と何かが発泡するような音が聞こえてきて、さらにじっとしていると、自分の周りの世界すべてがその音で満たされていることに気がつき、体の底から突き上げるような感動を覚えた。

2回目の滞在でも、カヌーツアーの後に河口に降り、音を楽しんだ。このシャワ、シャワという音は「コメツキガニ(ヘイタイガニ)」という小さなカニの行進音だ。潮が引くとカニたちが出てくる地面が、まず小さな気泡で一杯になり盛り上がる。そしてポコっと小さな穴が開いて、カニが出てくるのだ。このカニは珍しいことに横歩きではなく直進する。

カニたちは他の生き物の気配に敏感で、私がちょっとでも体を動かしたりすると、あっという間に泥の中に隠れてしまう。しかし、こちらがじーとしていると、また行進を始める。

小さな生き物との対話を楽しめるひと時だ。

西表島を訪れたなら、この音を聞かなければ西表を見たことにならないと思う。ぜひ、泥まみれになってもいい靴で、河口に降りてみることをオススメする。

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やべ、目が合ったPhoto_137 

みんなで行進Photo_138

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2006.07.02

前良川沿いの植物と生き物

帰り道は雨も止んだのでゆっくりと景色を楽しみながらカヌーを進めた。

行きに見たフトモモの花をみたり、まだつぼみのサガリバナを見ながら、この川の左右両側の植物がなぜ違うのかを教えてもらった。

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海に向かって川の右にはメヒルギ、左にはオヒルギが植わっている。それは右は海

水が濃く、海水に適したメヒルギが生えていて、左は海水が薄く、それに適したオヒルギが生えているのだと言う。

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また左側には牛の声。牧場があるという。昔は集落がありサガリバナは畑の境界に植えたのだと言う。だから川岸にサガリバナが群生しているのだという。

 途中サキシマスオウノキがあるポイントに寄ってもらった。

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マングローブの森に上陸し、写真を撮ったり、アカショウビンの姿を探したりした。かろうじて1羽発見できたがカメラを構える間もなく飛び立ってしまった。アカショウビンは白蟻の巣に住み着いて繁殖するという。白蟻にとっては、アカショウビンが住み着くことで白蟻の天敵の虫をアカショウビンが食べてくれるので、数ヶ月の同居を甘受しているらしい。うまく共存しているものだ。

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河口付近に片手だけ大きなカニの巣を発見。ものぐさ者で巣の周りにたくさん貝をストックしておき、数日後にえさがなくなったら外に出るのだという。だから巣の周りは貝殻だらけ。またザガミの網もかけてあった。

そうこうするうちにリバーツーリングは終了。名残惜しい。

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前良川沿いの風景

 ランチを終えたらカヌーで来た川を帰る。行きと違い雨も上がって少し晴れてきたので、今度はいろいろ写真も撮れそうだと期待した。

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 また幅20センチの細い岩道を恐る恐る歩き、川を渡ってジャングル道へ。

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その道で、昔の電話線の跡を発見。電柱ではなく、自然の木に部品を直接埋め込んであった。島を周る道路が通っていなかった頃は、島を横断するこの電話線だけが、情報交換の手立てだったと言う。

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 また中川さんがトカゲをつかまえて見せてくれた。このトカゲは尻尾を切らないトカゲだという。トカゲは尻尾に命の源となるエネルギーを貯めているのだという。だから猫などはトカゲを取って、尻尾を食べる。動きがけっこうトロいトカゲは、命と引き換えにその栄養豊富な尻尾を置き去りにして逃げるのだと言う。しかし、この西表のトカゲは尻尾を切らない。それだけ逃げ足が速いからだったか、どうか、理由を聞いたのだが忘れてしまった。

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2006.06.25

前良川上流ランチ

ランチは中川さんお手製の、カマンベールチーズのスパゲティと卵スープとホットコーヒー。雨で冷えた体に暖かい食事はすごくうれしい。中川さんはツアーで冷えた弁当を食べるのが嫌いだそうだ。だから機材は増えるが、調理器具を持ってくる。

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料理中の中川さん

昼食中、中川さんの話が山盛りだった。

ショップのサイトは自分が1からHTMLを書いて作ったのだそう。最初はPCのスイッチの入れ方も知らなかったが、カヌーのお客さんでWEBデザイナーの人にしごかれたらしい。

なぜプロに任せず自分でサイトを作ったかの話が面白かった。

大手観光ツアーのガイドをしていたころ、流れ作業でガイドをするのがつらかったとのこと。それですべて自分のこだわりを実現するためのショップを開いたが、雑誌などに広告を載せたくはなかったので、口コミとサイトだけでお客さんを呼びたかったのだという。そのためには印象に残るサイトが必要で、それはプロが作ったりソフトを使ったりではダメと、WEBデザイナーのお客さんに言われたとか。

 中川さんはガイド道に一本筋が通っている。私はこれまで何人か「これぞプロだ」と思わされる人と出会ったことがあるが、中川さんも彼らと共通するものがある。

・一から自分で作り上げること。

・自分の仕事が対象としているものを心から愛しつつも、一方で冷徹な目ももっていること。

・基本に忠実であること。

・サービスの本当の意味を知っていること。

こんな資質をもった人に出会うと嬉しくなる。

なぜ中川さんが仲間川などの大きな川でツアーしないかというと、遊覧船が出入りしていてカヌーには危険なことと、船の起こす波によってマングローブが枯れているからだという。その点前良川、後良川には大きな船が入ってこないので、西表でもここにしかないマングローブが残っているという。やはりカヌーのペースと視線で森を見るのが良いということだ。

他にも話は尽きなかったが、そろそろランチタイムは終わり、後片付けをして帰り道に向かった。

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2006.06.24

西表島の川:前良川遡上

久しぶりの更新になった。ここ1ヶ月以上気分がすぐれず、ブログをマメに更新する気力がなくなってしまったのだが、最近また元気が戻ってきたので旅の思い出をつづりたい。なぜ自分がまた元気を取り戻しつつあるかというと、この夏に海外旅行に行くことに急に決まったからだ。いまその渡航準備のためにいろいろプランをしたり調べたり英会話を習ったりで、けっこう楽しく時間を過ごしている。1年以上旅に出ることができなかった去年、ひどく落ち込んだことを考えると、私はつくづく旅人体質なのかもしれない。家の生活も好きだけど、それはいつでも自由に旅立てるという前提があってのこと。だから、旅する可能性がなくなるということは、私の精神的な終わりを意味しているような気がする。

さて、西表島のカヌーツアーについて、前回「海歩人」の中川さんのことを少し書いて、肝心のカヌーツーリングのことは書かなかった。

今回から少しずつ書いていきたい。

朝9時に中川さんがホテルに迎えに来てくれ、ショップで防水バッグを借りてからまず前良(マイラ)川となりの後良(シイラ)川へ。そこで各自カヌーに荷物を積んで、スプレースカートと救命具を着けて乗り込んだ。河口からまず海に出た。潮の関係らしい。

湾から大きく右にUターンして橋をくぐって前良川に入った。この日は天気が悪く風交じりの雨。海は波があって、けっこう大変だった。川に入って少しすると、だんだん漕ぎやすくなる。行きは上流目指してこぎっぱなし。雨も降っていて写真どころでない。しかし中川さんがよく話をしてくれるので、退屈しなかった。

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上流の真水になる場所あたりから、急に水が静かにゆったりとしてくる。静か。時々手を休めながら静けさを楽しみながら漕ぐ。時々実のなる木を見ては名前を聞く。マンゴーに似ている木は猛毒で、年に何人かハイカーが死ぬそう。こわい・・・フトモモの木というのも教えてもらった。黄色いフサフサした花。サガリバナはまだ新芽の状態。サガリバナはツアーが流行りすぎていて、今は花よりカヌーのほうが多い状態だという。

水が引いて岩が出ているところで下船。そこから荷物を持ってジャングルの細道を上に。滝壷下の20センチくらいの岩場を這うようにして歩き、大きな岩盤の上に上る。

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そこで昼食。いのしし狩りのマタギに教えてもらった場所だという。昔はここでいのししの解体をしていたという。中川さんが料理をしてくれる間、周辺の写真を撮って過ごした。やっと雨もあがり、うっすらと明かりが入ってきたので、岩盤周辺がとても美しく、まるで聖地に見えた。

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2006.05.19

西表島の川:カヌーツーリングガイド

集落めぐりの翌日は、西表島旅行の最大の目的である、カヌーーツーリングの予定だった。本当はキャンプツアーを希望していたのだが、私が西表入りして以来ずっと天候不良だったためキャンプはできなかった。そのためリバーツーリングに切り替えてもらった。

ツアーガイドは「海歩人(うみあっちゃー)」の中川さん。3年前の西表旅行でもお願いしたガイドさんだ。西表島には他にもたくさんエコツアーの観光ショップがあるが、旅行雑誌の記事や広告だけではどのガイドがいいのか判断できない。それなら、少しでもいいガイドをしてくれるという情報のあるガイドさんに頼むことになる。

3年前に中川さんにお願いしたのは、たまたまANAの機内誌に、西表の旅行エッセイが載っており、カメラマンが中川さんと後良川(シイラ)を行く様子が描かれていたのを読んだのがきっかけ。その様子を想像して、当時の私は西表島に魅入られてしまった。その記事を書いたカメラマンの文章力ももちろんあるが、いい体験がなければ人を感動させる文章は書けないものだということを、当時マスコミに身を置いていた私は知っていた。だから、「このツアーはこの人にとってかなり良い体験だったに違いない」と感じた。文章の行間から、川の匂いが立ち上がり、生き物の物音が響いてくるような文章だったのだ。

そこで自分が西表旅行をする時に、まず探したのは「海歩人」であったが、沖縄観光ガイドにはどれにも載っていない。しかしネットで検索すると見つかった。海歩人は観光ガイドに広告を載せないというポリシーをもっている。そのため客はほとんどがリピーターとリピーターからの口コミ紹介だという。だから、私が一見でいきなり電話をしたのは、珍しい客だったらしい。

3年前の西表島旅行では、旅行手配ミスで西表島に1泊しかできず、カヌーの直後にすぐ島を離れないといけないというタイトスケジュールだった。そのため帰りの川をじっくり惜しんでいる間もなく上陸するしかなく、同行のお客さんにも迷惑をかけてしまいとても心残りだったのだ。だから、こんど西表に行く時はぜったい1週間くらいの余裕をもって、存分に楽しむぞ、味わうぞという気持ちで行った。

前回の前良川でも、川沿いの景色や上流のジャングルなどを楽しくガイドしてもらい、半日でも非常にインパクトがある旅だったので、今回も安心して中川さんにガイドを任せることができた。

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前良川上流の大岩でランチをつくる中川さん。ホカホカ手作りのパスタとスープは、川で冷えた体にとても嬉しい。

ツアーガイド選びは広告だけを頼りに選ぶと、ある意味一種の賭けになる。ツアーの行く先と料金だけで、どれだけその旅に感動があるかは伝わってこない。また、こうした自然相手の旅は、楽しさや感動の基本に、安全性や快適性がないと成り立たない。広告からはそれは伝わってこないのだ。だから、ネイチャーツアーのガイドを探す時は、どんな文章でもいいから、体験者の肉声を探して判断材料にした方が、より感動に近づける。

そういう意味で私は初めから海歩人を見つけられて、ラッキーだったと思う。

この旅でカヌーツアーは川と海の2回行った。それについては後ほど。

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2006.05.16

星砂海岸

祖納、星立集落を散策した後、もう一足ついでに星砂海岸を見に行った。

ただ、この日はあいにく朝から雨降りで、そのうえ風も強く、残念ながら真っ青な海は望めなかった。晴れていたらどんなにきれいだったことか。

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星砂海岸。ここはペンションのプライベートビーチ

西表島の西側は、マリンスポーツで有名だ。シュノーケリングやダイビングなど、海の青さと透明感を満喫できるという。

星砂海岸は西表島のスポーツしない人にとっても観光名所のひとつだ。

「沖縄 八重山情報」というサイトによると、八重山の白い砂浜は、そのほとんどが珊瑚や貝などの生物の遺骸(死骸)で構成されているという。そーか、砂ではなかったんだ・・・星砂も海草などに付着して生活している原生動物のなかの有孔虫(ゆうこうちゅう)の骨格が、波などで砂浜にうちあげられたものだとのこと。この骨格が星の形に似ているため、星砂と呼ばれるようになったのだという。よく、お土産で「星砂の瓶つめ」などが売られているが、幸運を呼ぶラッキーアイテムとしても知られている。これは、海の大蛇に食べられた星の子どもの骨が流れ着いたいう伝説があるためだとのこと。

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星砂

うーん、そうだったのか・・・生命の巨大貯蔵庫である海から、その最終系が海岸に堆積しているわけか。以前宮古島の海岸にいたときも、同様の話を聞いたことがあり、「えー、これって死骸なのか」と思うと、白砂の上に立っている足が、ちょっとひるんだのを思い出す。  今はそれでひるむことはないが、この世のものは全て命の循環で成り立っていること、たまたま自分は今その上に立っているだけであり、いつしか自分も地面に落ちて誰かに踏まれていくのだなと感じた。

どこに行っても命のきらめきと、命の終焉・はかなさの、両方を実感させられる西表島だ。

しかし、ともかく風が猛烈で寒かった・・・レインウエアを着込んでいたがそれでも冷え込み、あまり長時間浜辺で思索にふけることができなかった。

今度来る時は晴れの日に!

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2006.05.12

西表の集落:星立

祖納集落を後にして、ホテルのある東部の方へ走りつつ、沿道の星立集落と星の砂海岸にも寄った。星立は祖納の隣の集落で、車で5分ほどの距離。祖納も星立も西表島では古い集落なので、建物や集落の佇まいがノスタルジックである。星立は1700年代に拓かれた。

星立は「干立」とも両方の表記がある。どちらも音は「ほしたて」。古くは「干立」と書いていたそうだが、大正10年ごろのマラリアの蔓延で、集落が廃村の危機に陥った際、村が干上がらない様に、との願いを星に託したことから「星立」と表記するようになったという。

星立には祖納と並んで、島で最も大きな祭りが行われる。節(シチ)祭という。

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フタデウガン:干立の御嶽。航海安全の神が祀られている。干立の祭り行事はここを中心に行われる。

西表島の民宿である「カンピラ荘」「イルンティフタデムラ」のサイトによると、それは300年を超える歴史があると言われ、毎年稲刈りが終わった頃、旧暦9月~10月上旬頃に行なわれるとのこと。私は今回4月に旅をしたので、祭りを見ることはできなかった。祖納、星立ともに同じ日の同じ時刻に行なわれるため、両方を同時に見ることはできないという。ということは、2つの祭りを見たければ2年越しということになる。

祭りの行事は3日間行なわれ、2日目の世乞い(ゆーくい)では、旗頭立て、船漕ぎ(ふにくぎ)、棒術、弥勒(みるく)行列などが続けて行なわれるという。ユーモラスな風貌の弥勒(みるく)とは、沖縄では五穀豊穣の神であり、幸福のシンボルだという。この3日間の祭りのうち、1日目は大晦日にあたり、2日目は新年元旦にあたるのだという。新しい年の始まりを祝い、新しい年の五穀豊穣と島人の健康と反映を祈願する。

八重山の絵葉書セットを買うと、そのうち1枚はたいがい祖納か星立の節祭の風景だったりする。どちらも国指定の重要無形文化財。写真を見ると、祭り用の船を海に浮かべて海のかなたから神を迎えたり、、海岸では踊りがあったり、黒い装束の人々の行列があるようだ。きっと神秘的なのだろうなと思う。

Photo_36 星立の海岸。拝所前から見たところ

これらの祭りは観光者も見学ができるが、島の東部のある集落の祭りは、その集落の祭りを取り仕切る関係者のみが参加をできて、他の人々は家でじっとして祭りを見てはいけないという、非常に神秘的な祭りがあるという。集落外の人、もちろん観光客などが祭りの時に集落内に立ち入ることはできないらしい。

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観光でかなり外部に開かれてはいるが、まだまだミステリーな部分がたくさん残る西表島だ。そこがまた西表島に魅力を添えているが、外部の者が立ち入ってはいけない聖域を踏み荒らさないように、注意する必要がある。

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2006.05.11

祖納の新盛家住宅

さて、3年越しの念願の新盛家の見学だったが、すぐ見つかったわけではなく、何回も迷ってしまった。まず祖納集落がどれか分からず、先の白浜まで行ってしまったし、戻ったらまた行き過ぎて、今度は星立まで行ってしまった。途中細い農道に迷い込んでしまったりして、これ以上自力で行くのは危険と判断してホテルに電話して聞いた。

郵便局が目印だった。しかし郵便局脇の道を入って集落に入ったが、今度はどれが新盛家住宅かわからない。雑誌の写真では古い萱葺きなんだが・・・何回往復してもわからなかったので、今度は郵便局で道を聞いた。すると、何回も往復した小道沿いだった。しかし石垣が高く積まれていて、車からは家が見えていなかったのだ。

やれやれ、やっと見つかった。郵便局から100メートルほど。

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新盛家正面

石垣の階段を登ると、まさに写真のとおりの古い木造の家。戸は開け放たれていて、誰でも自由に入れるようになっていた。上がると畳の和室が2つ。奥に板の間と台所。廊下がぐるりと取り囲み、廊下には臼や昔の漁の道具などが置かれていた。板の間には機織機。天井は低く、まさに昔の家だった。ここに、あの新盛のおじさんが住んでいたのか、この機織でお母さんがみんさー織でも織っていたんだろうか、この漁道具でお父さんが魚をとっていたのか、などと想像した。

Photo_26 新盛家居間

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新盛家台所

以下のサイトには動画が紹介されているので、これを見ると家の全容がわかる。http://www.okinawabbtv.com/travel/kankou/movie_page/b04020354_shinmorike.htm

新盛家住宅というのは沖縄県の重要文化財で築300年だという。

雑誌「うるま」2001年8月号によると、家の横を走る道は「神の道」といわれる、節祭の行列が通る神聖な道だそうで、そのためこの家は三番座が道に面するように設計されているという。この家は釘を1本も使わずに建てられており、ヒルギ材と縄を使って編みこまれているそうだ。また石垣はテーブル珊瑚が積まれている。

Photo_32   新盛家裏手

こうした珊瑚の石垣がみられるのは祖納や星立のような古集落。家の作りも見ていて楽しいが、こうした石垣が脇にある小道の先が開けた海につながっている景色というのも、なんとも心躍るものがある。この日はあいにくの雨降りだったが、晴天の時はもっとさまざまなものが色鮮やかに見えるのだろうなと思った。

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さんごの石垣

また次回訪れることができたら、晴れた日にしたい。

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2006.05.10

西表島の集落

今回私が西表島に旅をしたかった大きな理由の一つに「新盛さんの家を見たい」というものがあった。3年前に西表島にほんの一時立ち寄った際、東部の集落に泊まったが、集落を写真を撮りながら歩いている時に、声をかけてくれたのが新盛さんだった。なつっこい笑顔のおじさんで、ご自分の店に案内してくれ自作の缶カラ三線を弾いてくれた。そして、その店内に飾ってあった古い萱葺きの家の写真を指して「島の西にあるうちの元の家だよ。今は重要文化財なんだ」と教えてくれた。そして島の歴史、島での家族の歴史、ご自身の人生などについて、いろいろ話してくれた。

Photo_22 祖納の新盛家住宅

沖縄の人は温かいとよく言われるが、この新盛のおじさんでそれを実感した。見ず知らずの旅人を、ただ好意で呼び止めてくれ、いろいろと話をしてくれた。当時少し気持ちが沈んで鬱々とした日々を送っていた私は、とても心が和んだ。そして、ぜひその住宅を見たいと思った。しかし後で調べると、その家は島の反対側にある祖納という古集落にあるらしく、翌日西表を立つ予定だった私には、その時の訪問は叶わなかった。

しかし、その後もずっと「西表、新盛家、西表、新盛家・・・」とずっと忘れられず、再び西表に行ける日を待ち望んでいた。そして3年目にやっとそれが実現したのだ。

さて、西表島というのは移民の島である。新しくは観光の島として観光業界の人々の移住があり、江戸時代、明治、昭和の対戦前など、それぞれの時期にその時の政府に翻弄される形で、多くの人が西表島に移住をしてきた。今でこそ西表島は「東洋のガラパゴス」などと呼ばれ、豊かな自然が売りの観光島になっているが、それはつい最近のこと、イリオモテヤマネコの発見以降のことで、それ以前は農業と漁業によって質素に暮らす島だった。そして島の人々はその時代時代の辛酸をなめて生き抜いてきた歴史がある。(詳しくは「イリオモテドットコム」で

今西表行きの観光ツアーはたくさんあるが、せっかく西表島に旅しても、自然を楽しむネイチャーツアーだけで滞在を終え、島の歴史や島の人々の生き様を垣間見ようというオプションがないのは残念だ。だから自分で行くしかない。集落めぐりは、滞在のうち1日か2日をまるまるかける価値が十分にある。今回の旅では祖納、星立、船浮の3集落を2日かけて歩いて周った。

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星立集落の祈所

現在西表には東部に、豊原、大原、大富、古見、美原、西部に船浦、上原、中野、浦内、住吉、星立、祖納、白浜、船浮、網取という集落があり、それぞれの集落は沖縄の各島からの開拓民が開いたものだという。そのため、人々は集落内ではその出身島ごとの方言を使い、集落間の会合などでは共通語を使うのだという。集落のなかでも祖納は現存する集落では最も古く、14世紀に作られたのだという。また島の東部と西部を結ぶ道ができた1977年までは、東西の集落の交流はほとんどなく、石垣経由で船で移動するしかなかったという。だから、今も西表島は集落ごとにカラーがあり、道を車で走っていても、その沿道の雰囲気が集落ごとに変わるのが面白い。

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船浮集落から見た船浮湾

西部への旅は、まずは新盛家がある祖納を目指した。一度行き過ぎて白浜まで行ってしまい、ホテルに電話して集落の目印を聞くことになったが、無事に到着した。新盛家についてはまた次回。

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2006.05.06

西表島の滝:マリユドュとカンピレー

浦内川の軍艦岩から遊覧船を降りて、滝までのジャングルツアーは長い道のりだったが、歩き続ければいつか目的地には着くものだ。かれこれ50分くらい歩いて、そろそろ足が疲れてきたなと思っていたら、展望台の看板が見つかった。看板のあるところから少し急な階段道を上がると、東屋とベンチがあり、眼前にマリユドュの滝が見えた。

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マリユドゥ望遠

どれくらい離れているのか分からなかったが、滝はけっこう小さく見えた。望遠レンズで撮影。

ガイドパンフによるとこの展望台まで軍艦岩から1.5キロの距離だとのこと。そんなに距離がないとは信じられなかった。この展望台からさらに15分くらい歩くと滝に降りる道があったが、事故多発のため通行止めとなっていた。このマリユドュの滝は「日本の滝百選」に入っているのだという。近くで見ると、かなりの迫力があるらしい。間近に見られず残念だったが、展望台は涼しく、四方からさまざまな鳥の声が聞こえ、ちょっと休憩するにはもってこいだった。

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展望台からマリユドュ

10分ほど休んでまた歩き始めた。次はカンピレーの滝。展望台から15分ほど歩いた。道がさらに狭くなり、ほとんど木と木の間を掻き分けるような感じで歩いていくと、前方に小さな入り口が見えた。

大きな岩板から注意しながら下に降りた。カンピレーとは「神々の座」という意味だという。滝というよりも、少し段差が大きめの渓流という感じで、上流から勢い良く水が押し寄せてくる。とても清々しい。

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カンピレー

本当はここでゆっくり1時間くらいぼんやりと水の流れを見ていたいところだったが、行きに1時間ちょっとかかってしまっていた。帰りの遊覧船の時間まであと1時間。ゆっくり休むまもなく同じ道をUターンした。

ジャングルの道は行きと帰りとで、少し風景の見え方が違った。帰りは下りが多いからだろうか。行きには気がつかなかった倒木や植物などを見ながら、けっこう急ぎ足で休憩なしで帰った。

軍艦岩についたのが、船の時間の10分ほど前。帰りは50分程度で歩いたことになる。これで、ガイドブックに載っている所要時間より少しオーバー気味なので、山歩きに慣れた健脚の人でないと、ガイドブックのとおりには歩けないのではないだろうか。

もし時間に余裕があるなら、船をもう1便遅らせて、さらに2時間のゆとりをつくれば、展望台やカンピレーの滝でゆっくりお弁当なども取れるだろう。もし次回行く機会があったら、午前中の船で上がってきて、午後の最終便で帰ろうかと思う。

この後にも痛感することになるのだが、西表島では船やバスなどの交通の時間を逃すと大変なことになる。都会のように「乗り遅れたから次ので」というわけに行かないのだ。だから十分すぎるくらいの時間をとっておくことが大事だし、またそうでないと心から楽しめない。また乗り遅れたら一晩その集落で泊まればいいさ、くらいのアバウトさも必要。ジャングルで一晩は明かしたくないが。

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2006.05.04

ジャングルトレッキング②

先の記事では怖がらせるようなことを書いてしまったが、もちろんトレッキングはつらいことばかりではなかった。ジャングルならではの自然を堪能できたし、山を歩いている時に特有の、不思議な精神的な動きもあった。

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同じ船の人たちのグループから少し離れて歩くと、そこはもう自分だけの世界になる。静かで、自分の足音と森からの鳥の鳴き声くらいしか音がない。アカショウビンがキュロロロロロ・・・と鳴いているのが聞こえたが、姿は見えない。この山のきっと奥深くにはヤマネコもいるだろうし、イノシシもいるのだろう。

初めは一人だけの静寂を楽しんでいたが、ある瞬間、ふと、この世界には自分だけたった一人だ、という気持ちになった。それは喜びであると同時に恐れでもあった。そういう複雑な気持ちを抱きながら、ただ淡々と、道に沿わせて足を運んだ。

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少し足を速めると、前を歩いていたグループに追いついた。少しホッとして、挨拶をして追い抜いた。その後はまた一人ぼっち。また10数分歩くと今度は前方から別のグループに出会い、またホッとして挨拶して、また一人・・・これの繰り返しのなかで、道沿いに急に現れた小さな滝や道上に横倒しになっている大木に出会い、それらの傍に、小さな虫や瑞々しいシダやコケを見た。心が鎮まった。

また、かなり古い禁猟区の道標などもあり、ここに先人たちも行き来したという思いも深まる。少し心が躍る。

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孤独は恐怖であると同時に喜びだし、その逆でもある。だれもが一人で生まれて一人で死ぬ。自分の人生は、時々に仲間がいることはあっても、基本的には自分一人で歩むもの。山歩きは、それを短時間のうちに行う擬似人生体験だ。だから自分は山が好きなのかなと思う。

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ジャングルトレッキング

軍艦岩に着いてから滝を目指した。マリユドュの滝、カンピレーの滝を目指した。さらにその先にマヤグスクの滝というのもあるが、これはかなり距離がありジャングルの奥地なのでガイドがないと入れない。

帰りの船の時間は2時半出発と遊覧船の船長さんに言われ、はじめは「あと2時間ね。余裕」と思った。ガイドブックには片道30分と書いてあるし、説明の写真では、ドレスとサンダルという軽装のお姉さんがニコニコしてポーズをとっていた。 

しかし、以前屋久島トレッキングをした経験から、ガイドブックの写真や説明と実際は、かなり違うと言う事を学んでいた私。この時は念のためにと思い、レインウエアを携帯し、しっかりトレッキングシューズとトレッキングパンツ、長袖シャツと首筋をガードする帽子と手袋という、服装でジャングルに臨んだ。結果的にはこれが正解だった。

 細くて岩がたくさん、急な坂もあり手を使って這うように上がらないといけない場所もあった。またところどころ水が流れていて足元が滑る場所もあった。ここにサンダルで来る人は命知らずだ

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船長さんに片道45分くらいと言われたが、ゆうに1時間はかかった。もっと軽い道かと思っていたら、本気な山道だったのだ。1本道なので、道に迷う心配はないが、一度前進してしまったら、同じ道を帰るしか方法がない。つまり行くか、戻るかしか選択肢がない道なのだ。歩き始めて10分くらいのところにトイレと休憩所があり、これを最後に急にジャングルぽくなる。道も急に悪路になり、平坦な場所はなくなる。脚力に自信がないとか、小さな子供連れとかお年寄りとかは、ここから先には行かない方がいい。帰りの船に乗り遅れる心配がある。

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しかし歩いていると前方から、前の船で来て滝を見てきたらしい人々と、何回も遭遇した。なかには、タンクトップと短パン姿とか、ビーチサンダルの人、よぼよぼしたお婆ちゃんまでいた。出会ったときは何とも思わなかったが、いざ自分が滝の方へ奥へ奥へと歩くにつれ、「ひえー、あの人たち、よくあの格好でここまで来たな」と驚いてしまった。

くれぐれも「エコツアー」という軽い言葉のイメージで、山に入ることがないように。ここはジャングルなのだ。もし怪我をしても、自分で這って帰るしか道がないのだ。

ところどころ写真を撮りながらも、足を止めずに歩きつづけて50分くらいしたとき、やっとマリユドュ展望台の入り口についた。滝そのものに降りる道は、事故が多発のため封鎖されていた。軽装で行けば、事故も起きて当然だろう。

トレッキングでは自分の力の3、4割くらいで行動し、余力は帰り道やアクシデント時のために取っておく必要がある。自分の体力と相談しながら歩くことをお勧めする。

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2006.05.03

西表島の川:浦内川~軍艦岩②

Photo_3 遊覧船乗り場から浦内川観光の船に乗った。30~40人定員程度だろうか。このときは親子連れや20代~50代くらいの人たちが10人ほど乗っていた。この日の朝の雨で地面がぬかるんでいるらしく、船乗り場で長靴を借りている人もいた。

船が出発。私は3年前に西表島に来た時は前良川をカヌーで遡ったので、その速度、視点からのイメージしかもっていなかったが、さすがにモーターで動く船は早いし、目線も高い。同じ西表島の川なのに、3年前の前良川とは印象が違った。カヌーで上がって行くと、川の水も川沿いのマングローブもとても身近で、なぜか「ただいま」という気分になった。森全体が匂いたち、中に受け入れてくれるような気がしたのだ。

一方遊覧船から見る景色は、なんとなく映画や雑誌でみるような、エキゾチックで刺激的ではあるが「外国」という感じだった。ところどころマングローブの代表的な木、ヤエヤマヒルギやオヒルギ、メヒルギの前では船を泊めて船長さんがガイドをしてくれるのだが、基本的にはビューン!と通り過ぎていってしまう。お客線として遠目に観光しているという感じは否めない。途中カヌー客にも出会った。たぶん彼らはもう少し川を身近に感じていたに違いない。

Photo_2

高速で走るので風が冷たく感じた。浦内川という川をじっくり味わう余裕はなかったのが残念。やはり川はカヌーに限ると思った。

船長さんの西表島の植物や生き物の説明を聞きつつ、景色をながめているうちに軍艦岩についた。ここで下船し、滝トレッキングに行く人は一本道を登っていく。そうでない人はそのまま船でUターン。このときは小さい子ども連れの家族以外は、みなトレッキングに出た。

ここまでは、お気軽な観光が楽しめる。ハイヒール履きでもキャミドレスでも大丈夫。でもその先は、ちゃんとしたトレッキングの装備がないと苦しい道であることを知ったのは、歩いて10分くらいしてからだった。その話はまた次回。

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2006.05.02

西表島の川:浦内川~軍艦岩①

西表島滞在2日目は、悪天候のためカヌーツアー中止となったので、レンタカーを借りて島内をぐるっと走ってみることにした。西表島は沖縄諸島のなかでは本島に次いで大きな島なので、1周すると1日がかりだ。だから予定が開いてしまった日を、こういった時間のかかる観光に当てた。西表入りする前から、この旅行中に西部の祖納集落は絶対みたいという思いがあったので、祖納集落をゴールに、その道筋にある川や滝を見て周る計画を立てた。

初めはピナイサーラの滝に行くトレッキングツアーを検討していたのだが、体験談によるとけっこうハードなツアーになるというので、まずは気軽に見ることができる滝を目指した。西表島ガイドをみると、マリユドュの滝、カンピレーの滝はガイドなしでも行けて、遊覧船を降りてから30分ほど歩けば到着するとある。滝を背にサンドレスを着てサンダル履きでポーズをとっているお姉さんの写真も載っていた。どうもイージーな道らしい、西表トレッキングの足慣らしにちょうどいい。そう思い浦内川をまず目指した。

西表島東部と西部をつないでいる道沿いの東部側に、仲間川(なかまがわ)、前良川(まいらがわ)、後良川(しいらがわ)などカヌーや遊覧船ツアーで有名な川がある。東部と西部の境あたりに、由布島や日本最南端の温泉・西表島温泉があり、その先少し山と海を眺めながら走り続けると橋から遠くにピナイサーラの滝が見える。その先さらに少し走ると、急カーブがあり、西部側の集落に入る。ホテルがある豊原からここまでで約1時間。

上原港を通り過ぎてさらに行くと、浦内川の遊覧船乗り場の看板が見えてきた。ここの遊覧船は浦内川観光という会社が運航している。乗り場から軍艦岩までの定期便は7本。9時、9時半、10時半、11時半、12時、14時、15時半で、このうち岩から先の滝トレッキングに行けるのは14時の便まで。大人1500円、子ども750円だ。同じ会社がカヌーツアーもやっているらしい。

乗り場に行くとまさに船が出発しようとしていたので、急いで切符を買って飛び乗った。遊覧船は片道30分弱だ。ジャングルクルーズが始まった。

Photo_1

気軽な気分で行ったコースだが、とても長いハードな一日になったので、続きは次回記事で。

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2006.05.01

西表島の生き物2:ハブと蛍

大富林道には早朝トレッキングとナイトトレッキングで2回行った。早朝トレッキングの時は、森からはアカショウビンの声、遠くの空にカンムリ鷲らしき鳥なども見れた。道の途中名前がわからない、なぞのカタツムリもいた。殻に毛が生えていた。うーん、何のために・・・

Maimai2

夜の風景は早朝とはまったく変わっていた。林道には外灯などないので、月明かり以外はガイドさんがもつライトだけ。森には朝は聞かなかったいろいろな生き物たちの鳴き声や気配が充満していた。

実は、私は夜の山が好きだ。今はもちろん、好きだからといって一人で夜の山に入ることはないが、昔は車で山に入って、そのまま夜を明かしてくるという事もしていた。夜のなんともいえない雰囲気が好きなのだ。静かだがさまざまな気配を感じ、生命力をそこかしこに感じる。日中は明るいため、眼で見えたものに頼るし、目で見えたものを目標に行動するが、夜の山は、どんなに目を凝らしても真っ暗だ。月もない日は自分の指先さえ見えない。逆に満月の夜は、怖いくらい鮮明に全てが薄水色に見える。そんな景色の中に立ち、耳から入る音と、肌に感じる湿度、鼻に入る獣臭を感覚器で感じると、突然自分が単なる一個の生き物に過ぎないことを実感する。そして、自分が生きているのは、自分の外界にあるものとのつながりゆえであることを、改めて知る。

これは一種の瞑想体験に近いものがある。だから私は人生が行き詰ってきたような感じがしたとき、山に行きたくなるのだ。

さて、今回大富林道のナイトハイクに参加したのは、夜の山に入りたかったのと、蛍観賞をしたかったため。宿泊のラ・ティーダ西表のツアーガイドには、いくつもの多彩なツアーが紹介されているが、そのなかに「地元のおっちゃんといくナイトツアー」とういのと、蛍観賞ツアーというのがあった。それを見て、蛍なんて見たのは小学生の時に目白の椿山荘のホタルディナー以来だと思い出した。つまり自然の景色の中にいる生の蛍はまだ見たことがなかったのだ。

そこで、日中川でカヌーのアクティビティをした後ホテルに戻ってすぐ、ツアー参加を申し込んだ。7時フロント前集合とのことだったので、夕食の時間を早めてもらった。

ホテルに、とても愛想のいい優しそうなおっちゃんが来てくれて、他のツアー客とともに車に乗り込んだ。またデコボコ道走り、途中からは徒歩。その前におっちゃんから「絶対草むらに入らないこと」と厳重注意された。その理由はまもなくわかった。

ハブである。人が3人横に並んだら道幅一杯になる林道だが、一応舗装はされているので、道に沿っている限り安全だ。しかしその道の両脇の雑草の陰に、ハブが待機しているのだ。カエルがその道を通るのを待ち構えているのだろいう。道すがら3匹のハブに遭遇した。

Habu

うーん、さすが西表だ・・・と思いつつ坂を上がり続けると道沿いの森の暗闇の中に、小さな青い光がちらちら見え始めた。蛍だ。

西表島では蛍は3,4月のみ見れるものだそうで、それも時間は7時半から8時までと決まっているという。この時期、この時間を過ぎると、蛍の光はいっせいに消える。

さすがに蛍の光は写真に撮れなかったが、ちかちかと点滅している光と、点滅しない光と2種類あることを教えてもらい、みんなで森に目を凝らし歓声を上げた。

ほんの一時だけだが、目の前の暗闇前後左右、どこかしこにも蛍が飛んでいた。とても不思議な気分になった。自分が目眩を起こして目の前がちかちかしながら、暗闇で身が浮く感じがした。

蛍の時間も終わり、おっちゃんが帰り道もいろいろ話をしてくれた。西表島の水源であるという川をみんなで覗きこんだとき「あ、あそこにエビがいるよ」と教えてくれたが、どんなに見ても暗い川と水だ。おっちゃんはそんな水の中にいる小さなエビを、数メートル上の橋から歩きながら発見してしまう。すごい目だ。

帰りの車では、数日前に他のツアー客を乗せていたときにヤマネコに遭遇したときのことを話してくれ、私たちも見れないものかと一同期待したが、残念ながらその夜は会えなかった。しかし、その期待感で帰りの車はとても楽しいものになり、おっちゃんの盛り上げ上手に拍手だ。

Night_rinndou

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2006.04.28

西表島の生き物:1 セマルハコガメ

早朝トレッキングでは、さまざまな植物のほかに、多くの生き物を観察した。大富林道の坂道を何気なくさっさと歩いていたガイドさんが、「あ、ほら、これハコガメです」と、立ち止まり草むらを指差した。

おお、これがセマルハコガメか! 天然記念物で希少種の。いきなり会えるとは・・・しかも親子。

Hakogame2_1

ハコガメは、亀とはいえ、足が速い。ダッシュで草むらに逃げ込もうとする。そこをガイドさんがひょいっとつかんで、腹側を見せてくれた。

Hakogame_2

セマルハコガメは普通の亀と違い、外的から身を守るときに首と手足を甲羅に引っ込める際、腹側の甲羅の縁が少し変形して、背の甲羅と合わせてぴったりと隙間なく閉じるようになっている。そのため鳥などにくちばしで身をつつかれたりすることから逃れているのだという。

親亀は確かにぴったりと閉じていた。しかし子亀はまだその腹側の変形が未熟らしく、あちこちから身が飛び出していた。

あーあ、早く大人になってしっかり閉じなさいよ、と内心子亀に話しかけて、草むらに放してやった。2匹ともカササササと音を立てて、草むらにダッシュで消えた。

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2006.04.26

大富林道展望台

坂をいろいろ写真撮りながら上がって、いいかげん疲れてきたなと思ったら、ちょうど展望台についた。この展望台から先は、西表島横断道路(山道)。入山届けが必要だ。素人が一人で歩くのは絶対避けたほうがよい。確かに山の途中で日が暮れたりしたら、もうどうにもならないだろう。携帯もつながらないし、怪我や病気で救急車を呼びたくても、車は入ってこれない。

また、西表島はわりと簡単に旅行者の手の届く範囲で、有毒植物があったりする。そして、観光者ほど、有害植物を手にとってしまいがちだという。それはなぜかというと、無害な美味しい植物は鳥や動物に先に食われてしまい、山道沿いに露出して残っているのは、どれも有害植物というわけだ。だから、「あら、美味しそうな実」なんていって、ハイカーが口にして中毒起こすこともたまにあるという。また何気ない植物に、毒をもった毛虫なども、ちょこんと座っていたりする。植物も動物同様に要注意だ。お子様連れは特に注意が必要。

Tenboudai_1 

夜明け前から軽く雷が光っていたが、この展望台についた途端に大雨が降ってきた。この展望台から仲間川と周辺の森が一望できた。ガイドのおにいさんが、ポットから温かいさんぴん茶(沖縄のジャスミンティ)とホテル近くの工場で生産された黒糖を出してくれた。朝食前のすきっ腹+のぼり坂ハイクで、すっかり低血糖状態の私には、とても嬉しい配慮だった。

Rindou_riverしばらく待ったが雨がやみそうにないので、決意して帰り道。ガイドさんが貸してくれた雨合羽を着込んだ。途中でカラリと雨は止み、西表島の水源とされる川を覗き込んで、車に戻り、お腹ペコペコの状態で朝食に向かった。

いやー、しかし、朝飯前に一仕事片付けた気分。お得感がすごくあるツアーだった。この道すがら珍しい動物にも出会ったので、それは次回に。

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大富林道の植物

ホテルについてフロントでツアーの相談をして、とりあえず翌日早朝のトレッキングツアーに参加することにした。朝6時集合。夜明け前に出発し、林道周辺の植物や生き物を見るツアーだ。トレッキングをして帰ってから朝ごはんというスケジュールだった。ガイドはホテルのスタッフのおにいさん。

Gettou_1

大富林道は西表島のガイドブックなどには比較的気楽なトレッキングコースと書かれていたので、私としては朝飯前の軽いお散歩のつもりだった。しかし、念のためトレッキングシューズを履いていったら、これが正解だった。思っていたより本気な林道だったのだ。

 大富林道の途中までは車で行った。しかし、かなりラフな小道で、いたるところにボコボコと大穴が開いている。これは、大雨の時に道に一気に水が入り激流状態になり、道の土をえぐっていくからだそうだ。だから、たとえレンタカーを借りていても、この林道には行かない方が良い。道をよく知っている人でないと、必ず脱輪し身動き取れなくなるだろう。

 林道2つめのゲートから先は車が入れないので徒歩。思っていた以上に長い道のりで3キロ程度と聞いていたが、舗装路とはいえゴロゴロ小石がある上り坂は、ゆっくり休み休み上らないとけっこうつらい。道すがら亜熱帯の植物や動物について、いろいろおしえてもらった。

イモのようだが食べられないクワズイモ。

Kuwazuimo

Gettou2_1

葉を料理やお菓子つくりに使うゲットウ。

その他、木の幹から直接実がなるへんな姿のギランイヌビワ、大きな木のようなシダや花を教えてもらった。

Inubiwa

Shida_1 

本当は他にもいっぱい、というか見るもの全てが本州にはない植物ばかりで、植物マニアが見たらきっと大喜びだろう。名前を覚え切れなくて残念。

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2006.04.24

西表島の道

ホテルに着いてすぐに、予約をしていた翌日以降のカヌーツアーの催行について問い合わせの電話をした。島に上陸した日は海は時化ていたが、翌日もさらに天候不良とのことで、ツアーは中止。ということで、2日目からいきなり時間ができた。

そこで、その足でホテルのフロントに行き、レンタカーの手配をお願いした。軽自動車との希望を伝えたら、すぐに軽自動車専門のレンタカー屋さんが来てくれた。翌日夜までの24時間でレンタル。基本料金4000円。安い。

Car

ラ・ティーダ西表のサービスの良さのひとつが、こういった手配の迅速さ。レンタカーはもちろん、カヌー、シュノーケリング、トレッキングといった各種アクティビティのツアー手配も行ってくれる。個人手配だと現地入りする数日前から予約をしないといけないが、ホテル通しだと、前日の夕方までに、ツアーによっては当日朝までに、フロントに予約をすれば、ツアーに参加できる。だから、当日の天気や体調をみて、どのアクティビティに行くかが決められるのだ。

さて、車を借りて滞在中2日間、島内とドライブした。そこで見つけたものを2つ紹介したい。

一つはイリオモテヤマネコを模った植え込み。これは島の西部にあった。

Cat

西表島は島内1週する道はなく、東は南見田浜から西は白浜港までの1本道が通っている。バスも車も全てこの道を通って移動する。この道を全て走ると島の2/3周くらいになる。そこから先は船でしか行けない。

ノンストップで走り続けて1時間半から2時間弱といったところ。この道沿いにいくつかの集落があり、その集落ごとに道沿いの雰囲気が違っていた。

このヤマネコ植え込みがあったエリアは、他に赤い花の鉢植えも置かれており、とてもラブリーな雰囲気を醸し出していた。旅人を歓迎するムードを感じる。

もうひとつは、「ヤマネコ注意」の看板。これは島内くまなくある。ご存知のようにイリオモテヤマネコは絶滅の危機にあるレッドデータブックの動物。これが、残念なことに、車にひかれることがあるのだという。そのため、ヤマネコ生息エリアには、必ずこの看板が立っている。

Sighn_boad

もし、夜生きたヤマネコに会いたいなら、この看板のA-~。B-~とふってある、番号が小刻みなものを目印にすると良い。A-1、B-2ではなく、A-2.5のように、小数点のもの。この刻みが細かいほど、ヤマネコの人口密度が比較的高い場所だという。ただ、密度が高いといっても、全島で100頭といわれているので、会える可能性は非常に低い。それを承知で、深夜カメラを構えて蚊に食われながら待ち構えるほどの元気があれば、挑戦してみるのも面白いかもしれない。私は看板だけで満足。

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