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2005年7月23日 (土)

アナキンの人生。3つの「もし~」

 目下ハマっている映画は「スターウォーズ」です。先週エピソード3を観て、「そういえば旧3部作ってどんなのだったっけ?」と気になったので、さっそくレンタルして観ました。今日追加でエピソード1、2を借りてきたので、これを観終われば私の中のブームは去っていくでしょう。
 特にファンでもない私が意見を述べるまでもなく、スターウォーズについて熱く語っているサイトは山ほどあります。面白いなと思ったのはスターウォーズを精神分析的に解釈している「スター・ウォーズ心理学」というEブックです。お試しPDFで読んだ限りですが、なかなか楽しめます。筆者が精神科医ということで、心理学的な基礎をきちんと踏まえたうえで書いている分析の正確さが、面白くしているのでしょう。
http://egoods.holy.jp/sw/book.html

 さて、そうなると私の専門分野に引き寄せてあの物語を考えるとどうなるかなと、好奇心が出てきました。
 あの物語は私にとってはアナキン・スカイウォーカーという一人の男の人生の物語だと思えます。子ども時代から青年時代の葛藤、わが子との対決と死です。アナキンの人生は苦しみ多いものでした。将来を期待されたにも関わらず、ダーク・サイドへと落ちその後は悪の道をまっしぐらです。よくある話です。では、アナキンがダーク・サイドに落ちることは防げたでしょうか? いくつかの「もし~」が実現していれば、可能だったかもしれません。

 アナキンがダーク・サイドに引き込まれることになった最大の原因は、彼の心の弱さだという風に描かれています。恐れや怒りを抱いている状態では、冷静な判断も行動もできませんから当然でしょう。子どもを不良グループに引き込むワルとか、悪徳商法もそういう人の心の緩みに付け込みます。これもよくある話です。
 ではアナキンの心の弱さが原因の全てかというとそうではないでしょう。身寄りのない男が、唯一の家族である妻子を失いたくないと思うのは当然でしょう。それを「弱い」と決め付けることはできません。ここで一つ目の「もし~」です。

 「もし、オビ=ワンや他のジェダイたちが、アナキンの恐怖心にもっと理解を示していたら」。これには前提として、アナキンが結婚の事実をカミングアウトしている必要がありますが。そうすれば、アナキンが最後に「もう後戻りできない」と追い詰められていくことは避けられたかもしれないです。人は重大な失敗をしたときに、ヤケになって毒を食った後に皿まで食ってしまうことがあります。抱えている苦しみに共感してくれる人々、横のつながりがあれば最悪の事態は免れたかもしれません。

 そして2つ目の「もし~」は「もしオビ=ワンが師としてでなく兄として接していれば」。パドメ以外に家族がいれば、アナキンを引き止める大きな力になったかもしれないです。パドメがアナキンにとってどうしてあれほど影響力があったかというと、パドメはアナキンにとって「妻」という立場のみで接していたからでしょう。アナキンの前では決してクイーン・アミダラではありません。しかし、オビ=ワンは自分でも言っていたようにアナキンにとって「兄であり師」です。こういうのを多重関係といいますが、心が揺れている人間に対して一人の人間が複数の立場で接すると、混乱を深めるばかりです。だからオビ=ワンはアナキンを救えなかったのでしょう。エピソード6でルークがダース・ベイダーの心に訴えることができたのは、あくまでも「息子」として訴えたからだと思います。あれがヤング・ジェダイとして「フォース道」なんか説いちゃったりしたら、きっとダース・ベイダーは鼻で笑ったでしょう。

 最後の「もし~」は、「もし母親が健在でタトゥイーンで幸せに暮らしていれば」。そうであればアナキンは、あそこまでパドメにのめり込まなかったかもしれないです。人はいつでも、愛する対象を求めています。家族でも恋人でも友人でも、心から愛させてくれる対象が必要なのです。それがアナキンにとってはパドメ一人きりだったというのが、そもそもの始まりのような気がします。
 こうやってみると、スターウォーズのストーリー展開は、いつの時代でもどこの国でも人の生き様として見られることだと思えます。だから世界的にファンがいるのでしょうね。

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